チェルシー2026年夏の補強を振り返る 若手偏重から変化、アロンソ仕様のスカッド構築へ

移籍26-27

2026年夏の移籍市場が終了しました。

今夏もチェルシーは非常に多くの選手を動かしました。

細かい加入・放出については別記事で一覧にしているため、今回は一人一人の移籍を振り返るのではなく、今夏の補強方針がどう変わったのか、スカッドはどこまで改善されたのかを中心に見ていきます。

個人的には、ここ数年の移籍市場と比較してかなり好印象。

これまで続けてきた若手への投資を継続しながら、ラクロワ、ヘンダーソン、ウェルベック、マルティネスといった即戦力や経験のある選手も加えました。

一方で、最終日にエンソを売却しながら中盤の代役を確保できなかったことは大きな失敗。

全体としては成功と評価しますが、最後に大きな課題も残した移籍市場となりました。

これまでとは少し違った補強方針

BlueCo体制となって以降のチェルシーは、基本的に若い選手を長期契約で獲得する方針を続けています。

将来性の高い選手を早い段階で確保し、成長させながら戦力化、あるいは市場価値を高める形。

今夏もその考え自体は変わっていません。

パレストラ、クエンダ、サトパエフ、アハノールなど、将来を見据えた補強は引き続き行われました。

ただ、これまでと明確に違うのは年齢を理由に即戦力を避けなくなったこと

ラクロワは26歳。

チャバリアは20代後半。

さらにヘンダーソン、ウェルベック、マルティネスと30歳を超えた選手まで獲得しました。

ここ数年では考えにくかった補強です。

若く、市場価値が上がる可能性があるかだけではなく、

今のチェルシーを強くできるか。

そこを以前より重視するようになったのは非常にいい変化だと思います。

アロンソの希望が反映された補強

今夏はシャビ・アロンソ就任後、初めて迎えた移籍市場でもありました。

そのため、単にクラブが評価する若手を集めるというより、アロンソのサッカーに必要な選手を集めた印象があります。

最も分かりやすいのがロジャース。

移籍金£117mという非常に大きな金額を使って獲得しました。

ただ、プレミアリーグですでに結果を残しており、中央でもサイドでもプレーでき、ボールを運ぶ能力も高い。

パーマーと共存しながら攻撃の中心になれる選手として、アロンソが強く希望したことを考えれば、クラブが監督に大きな戦力を与えたとも言えます。

パレストラの加入も同様。

ウイングバックを使うアロンソにとって、このポジションの補強は必要でした。

さらに3バックに慣れているラクロワをセンターバックに加え、バルコやチャバリアも複数の使い方ができます。

選手を獲得してから使い道を考えるのではなく、必要な役割を先に決め、その役割に合う選手を獲得したように見えます。

ここは近年の移籍市場との大きな違いです。

最大の補強はロジャース

当然ながら今夏最大の補強はロジャース。

パーマーとともに攻撃を引っ張り、ゴールとアシストを継続的に残すこと。

そこまでできて初めて移籍金に見合う補強になります。

ロジャースはまだ23歳。

すでにプレミアリーグでトップクラスの攻撃的選手になりつつあり、ここからさらに伸びる余地もあります。

若手への投資という従来の方針と、すぐに結果を求められる即戦力補強のちょうど中間にいる選手。

その意味でも今夏のチェルシーを象徴する獲得だったと思います。

守備陣はかなり改善

個人的に今夏で最も評価しているのは守備陣への補強です。

特にラクロワ。

チェルシーはここ数シーズン、センターバックに若い選手を揃えてきましたが、コルウィルの怪我もあり、組み合わせがなかなか固定できませんでした。

ラクロワはプレミアリーグでの経験もあり、スピードもあるためアロンソの高い最終ラインにも適応しやすい。

年齢的にも即戦力として使いながら数年間主力を任せられます。

非常に理にかなった補強だと思います。

さらにGKにはマルティネス。

サンチェス、ヨルゲンセンらを抱えながらもGKは常に不安定が続いていましたが、最終的には経験豊富なGKを新たに獲得しました。

ワールドカップ優勝を経験し、大舞台での実績について説明する必要はありません。

今回は明確に完成された選手を取りにいきました。

先日34歳になりましたが、GKというポジションを考えれば、年齢をそれほど気にする必要はありません。

移籍金も大きなものではなく、ペンダースへの移行を想定したいい補強になったと思います。

ヘンダーソンとウェルベックの意味

ヘンダーソンとウェルベックについては、単純な戦力だけで考える補強ではないでしょう。

現在のチェルシーは非常に若いチームです。

その中にプレミアリーグで長期間プレーし、代表や欧州大会でも豊富な経験を持つ選手を加えました。

これもBlueCo体制ではなかったことです。

ヘンダーソンが毎試合先発すること、ウェルベックが20ゴールを決める必要もありません。

シーズンを通して必要な時にプレーし、若いチームを支えることができれば十分価値があります。

試合の締め方の問題、レッドカードが頻発したことなど昨季は、チームの若さが悪い意味で目立ちました。

百戦錬磨のベテラン選手がいることで、こうした不安定さを解消することが期待されます

これまではベテランが抜けても若手で穴を埋めることが多かったため、経験を補強ポイントの一つとして考えたこと自体を評価したいです。

若手への投資も継続

一方、ベテランを獲得したからといってクラブの基本方針が変わったわけではありません。

クエンダは以前から移籍が決まっていた選手ですが、今夏から正式加入。

サトパエフも18歳となり正式にチェルシーの選手となりました。

アハノールについても将来を見据えた補強。

ほかにもアカデミー年代の選手を獲得しています。

つまり、

若手補強を止めて即戦力重視に切り替えたわけではありません。

若手中心だった補強に、20代後半や30代の選手を加えた形。

これくらいのバランスの方が健全でしょう。

放出もかなり進んだ

今夏は獲得だけではなく、余剰戦力の整理もかなり進みました。

ジャクソン、デラップ、アンドレイ・サントス、ククレジャ、チャロバー、ギウ、DDフォファナなど多くの選手を完全移籍で放出。

大きな売却益を得られ、最高額の売却額となりました。

ムドリク、ガルナチョ、バディアシル、ディサシ、サンチェスらもローンでチームを離れています。

ここ数年は選手を獲得する一方で、スカッドが大きくなりすぎる問題がありました。

今夏は加入選手の数も多いですが、それ以上に不要となった選手を動かすことができています。

特に、構想外となった選手をただ抱え続けるケースが以前より減ったのはプラス。

売却による収入を新たな補強に回すというBlueCoのモデルも機能し始めています。

一方で、パエスやスロニナなどのローンは決まらず、ひとまずはチェルシー残留となっています。

エンソ売却はどう評価するか

今夏最大の放出はエンソ。

マンチェスター・シティに£125mで売却しました。

移籍を希望していたこと、この金額を提示されたのであれば、売却という判断自体は理解できます。

チェルシーは2023年に非常に高額な移籍金で獲得しましたが、それを上回る額で売却することに成功しました。

エンソ自身も移籍を希望していたことを考えれば、無理に残すよりも最高額に近いところで売却するという判断は間違いではなかったと思います。

問題は売ったことではなく、売った後

チェルシーは代役を用意できませんでした。

ここが今夏最大の失敗です。

カマラ獲得失敗が最後に残った

エンソの後釜として最も移籍に近づいたのがモナコのカマラ。

チェルシーとモナコの交渉はかなり進み、移籍金£47m前後で取引成立に近づきました。

しかし最終的にモナコ側が取引を取りやめ、移籍は破談。

チェルシー側としてはかなり予想外の展開だったようですが、結果だけを見れば、エンソを放出しながら代役を獲得できませんでした。

ここについては以前の記事でも書いたように、モナコ側の対応だけを責めて終わることはできないと思います。

移籍市場最終日に£125mの選手を売るのであれば、代役を確実に獲得できる状況を作った上で進めるべきでした。

カマラとの取引が破綻する可能性を考えて、もう一つ具体的な選択肢を準備しておく必要もあったでしょう。

最終日の動きに限らず、今夏を通してチェルシーがエンソの後釜を必要としていたことは明らか。

それだけに、期限直前まで一人に絞り切れなかったことも含め、準備不足だった印象は残ります。

獲得できなかった選手たち

中盤以外にも今夏は獲得に動きながら実現しなかった選手がいました。

夏の早い段階ではジャカ獲得の動きがありました。

アロンソのサッカーを理解し、経験のある中盤として非常に分かりやすいターゲットでしたが、加入には至りませんでした。

昨シーズン終了直後から補強候補として名前が挙がった選手も複数いましたが、結果的には別のポジションや別のタイプに予算を使っています。

ただ、すべてのターゲットを獲得することは当然不可能。

獲得できなかったこと自体よりも、そのポジションに最終的な解決策を用意できたかで評価すべきでしょう。

その意味では、GKやDFでは代替案を含めて補強を完成させた一方、中盤だけは最後まで完成しませんでした。

カイセドへの依存はかなり大きい

その結果、現在最も心配なのは中盤。

エンソだけでなく、今夏にはアンドレイ・サントスも完全移籍。

エスーゴもローンに出ています。

ラヴィアは能力について疑いはありませんが、これまで怪我が非常に多い。

ヘンダーソンを獲得し、バルコやジェイムスを中盤で起用することもできますが、カイセドに何かあった場合の戦力低下は大きいです。

幸いというかヨーロッパの舞台が今季はないため、大きな問題がなければ乗り切ることもありうるでしょうが、冬の移籍市場で再び補強ポイントになる可能性は高いと思います。

昨年までより「勝つこと」に近づいた補強

それでも、今夏の移籍市場全体については高く評価しています。

ここ数年は、

「数年後にどうなるか」

という補強が非常に多くありました。

今夏はそこに、

「今季どう勝つか」

という視点がかなり入っています。

ロジャースに巨額を使い、ラクロワを獲得。

GKにはマルティネス。

ヘンダーソンとウェルベックで経験も加えました。

アロンソが必要とするウイングバックも補強。

これまでのように才能のある若手を大量に集めるだけではなく、ポジションや役割を考えて選手を加えています。

クラブがプロジェクトの次の段階に進んだ移籍市場だったように感じます。

今夏の評価は8点

個人的な評価は10点満点で8点

ロジャースを獲得できたこと。

ラクロワ、マルティネスら即戦力を加えたこと。

パレストラらアロンソのシステムに合う選手を獲得したこと。

そしてベテランと若手をバランスよく加えたこと。

放出も含めれば、かなりいい移籍市場だったと思います。

特に、年齢にこだわりすぎなくなったことを高く評価したいです。

一方で、エンソを売却しながら代役を取れなかったため満点にはなりませんでした。

カマラまで獲得できていれば9点を付けてもよかったですが、中盤の戦力を考えると1点以上は落とさざるを得ません。

あとは結果を残せるか

補強についてはかなりやるべきことをやった夏だったと思います。

中盤の層については明確な不安があります。

ただ、少なくとも今夏は以前よりも現在のチームを勝たせるための補強だったことは間違いありません。

若い選手を集め続ける段階から、その選手たちを中心にタイトルを狙う段階へ。

チェルシーのプロジェクトが一つ先に進んだ夏だったと思います。

ロジャースとパーマーを中心とした攻撃がどこまで機能するか。

マルティネスとラクロワの加入で守備がどこまで安定するか。

そしてエンソを失った中盤をどう成立させるのか。

今夏の移籍市場が本当に成功だったのかは、これからのシーズンで分かることになります。

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